2016年04月02日
あみや横丁物語〜ピエロの素顔〜

「イカちゃんは可愛いなぁ〜」
「ホントに良い子ね〜」
よくみんながかけてくれる言葉だ
「笑顔がステキよね〜」
それはそうだ
だって私は‥

みんなを喜ばせるピエロだから
だからみんなが自分を好きになってくれるのは
当たり前
だって私はそういう仮面を
つけているから
だけど‥

「よっ!相変わらずつまらなそうに
してるな!」
私の仮面が見えない者が現れたのだ

私がいくら笑いかけても
彼はそんな私を微笑った
無理するなと‥

もしかしたら、
彼なら私は素顔を出してよいのではないか
だんだんそんなことを
考えだした
だけど‥‥
「えっ、町を出て行く‥?」

引き止めたかった
行かないでと
泣いてすがりつきたかった
でも
できなかった
だから

「就職おめでとう!
向こうでも元気でね!」
仮面をつけて笑った
私はピエロだから
やがて彼は結婚をして
子どもができた
私は少しでも彼に覚えていて
貰いたくて
モデルになった
仮面をつけたまま‥
そんな時だった
過疎化したある町が
地域復興に成功したという記事に

彼の変わらぬ姿を見つけたのは‥
迷いはなかった
私はすべてを捨て
彼の元に向かった
そんな私に彼はこう言った

「よっ!久しぶり!
あの気味の悪い笑顔はやめたのかい?」
‥相変わらずデリカシーのかけらもない発言だ
その事を娘さんに咎められている彼に
私は今度こそ素顔でこう言ってやった

「相変わらずデリカシーがないのね
タコさん!」

すべて捨ててきた
あの仮面もピエロになるのも
だから今度こそ
私は迷わない
私の本当の笑顔で
必ずあなたを振り向かせてみせる
仮面を捨てたピエロの本気を
魅せてあげる
覚悟してよね
私の大好きな王子様!
〜終わり〜
Posted by ハヤミ at 04:45│Comments(0)
│あみぐるみ